会長 以呂免 義雄
昨年9月4日、最高裁大法廷は、婚外子の相続分を婚内子の2分の1とする民法第900条4号ただし書前段(以下「本件規定」という。)について、「遅くとも平成13年7月」(他の1件の決定では同年11月)「当時において、憲法14条1項に違反していた」とする2件の決定を行った。これを受けて国会は、昨年12月5日、本件規定を改正し、婚外子の相続分の不平等規定を削除した。
これは,当会の2010(平成22)年6月22日付会長声明や従来からの日本弁護士連合会の主張と軌を一にするものであって、高く評価する。
しかし、改正すべき点は本件規定にとどまらない。これまで自由権規約委員会及び女性差別撤廃委員会は、日本政府に対し、選択的夫婦別姓を認めていないこと、女性のみに6か月の再婚禁止期間を定めていること、婚姻年齢に男女の差を設けていることについて繰り返し懸念を示し、対策を早急に講じるよう要請してきた。そして、法制審議会は、1996(平成8)年に決定した「民法の一部を改正する法律案要綱」において、本件規定以外にも、男女とも婚姻適齢を満18歳とすること、女性の再婚禁止期間を短縮すること、選択的夫婦別姓を導入すること等、民法における差別的規定の改正を答申した。また、2010(平成22)年には、政府が上記要綱と同旨の法律案を準備した。しかし、これらに関する民法改正は、いまだなされていない。
当会は、昨年9月4日の最高裁決定を契機に、国会に対し、家族法全体についても見直しを行い、本件規定のみならず、そもそも出生届の際に嫡出子・非嫡出子の届出を要求する戸籍法49条2項1号、婚姻適齢に男女の差を設ける民法731条、女性について不合理な再婚禁止期間を定める民法733条及び夫婦同氏を強制する民法750条等の差別的規定についても、速やかに改正するよう強く求めるものである。